高野山に行く前に要チェック!山と高野豆腐の知られざる関係とは
高野山における高野豆腐の扱いについては以前の記事でも少し触れました。
あなたは知ってた?高野豆腐誕生の秘話 - こうやどうふでいこう。
「どうして高野山で高野豆腐が作られなくなってしまったの?」
「高野山で食べる高野豆腐はやっぱり特別なのでは?」
などの疑問を持った人もいるかもしれません。
それらに答えを出すため、10連休を利用して高野山取材に行ってきました。
今日は、高野豆腐を扱うおみやげ物屋さんを営む方々の話をもとに、現代の高野山における高野豆腐の謎を解き明かします。
高野山での高野豆腐作りが途絶えてしまった理由は?
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地球環境問題が主な要因だった
近年、気温が高くなったことにより豆腐が凍らなくなってしまい、伝統的な製法での高野豆腐づくりが困難になってしまったそうです。厳寒期に豆腐を屋外で凍らせて作る高野豆腐にとって、温暖化は大敵なのです。
高野山は標高800mの山深い高地に位置しており、夏でもエアコンがいらないほどの涼しさで、冬には雪も降ります。
そんな高野山にも温暖化の波が押し寄せていただなんて・・・高野豆腐ファンとして、衝撃を受けました。
伝統的製法が難しくなってきたところに、他の生産地(※後述)の台頭などが重なり、高野豆腐づくりは発祥の地である高野山からその姿を消してしまったのです。
高野山で売られている高野豆腐の正体は?
高野豆腐が作られていないはずの高野山。しかし、山内のおみやげ物屋さんでは、高野豆腐がたくさん売られています。
これらの大半は、実は長野県からやって来ます。流通している高野豆腐の95%以上が信州産と、長野県は圧倒的なシェアを誇る、高野豆腐のまさに一大産地なのです。
長野県で高野豆腐がたくさん作られるようになった理由
長野県では江戸時代以前から、高野豆腐と似た製法である「凍み豆腐」(しみどうふ)が作られていました。両者は、豆腐を凍らせるという点では同じですが、凍結させる期間の長さや乾燥のさせ方などに違いがあり、厳密に言えば別ものだったそうです。
近代になり、「凍み豆腐」とは異なる「高野豆腐」の製法が長野県にも伝わりました。戦後、「高野豆腐を長野県の名産品にしよう」という行政の働きかけを背景に、産地化が進められた結果、長野県は高野豆腐づくりのメッカへと急速な成長を遂げたのでした。
和歌山県産の高野豆腐に出会えたらラッキー
高野山で売られている高野豆腐も、例にもれず、ほとんどが長野県産です。
パッケージには「販売者」のみ記載されていて「製造者」は書かれていないため、一目見ただけでは高野山で作られたものと思う人も多いかもしれません。しかし、実際には、長野県の製造元から仕入れたものが使われています。
ちなみに、売られている高野豆腐の全てが長野県産というわけではなく、高野山のふもとの町で作られているものもあるとのこと。「せっかく高野山に来たのだから、どうしても和歌山県で作られた高野豆腐を手に入れたい」という人はお店の人に尋ねてみるのがよいでしょう。
メード・イン・高野山の伝統的な高野豆腐がなくなってしまったのは残念な限りですが、その製法は長野県に受け継がれていることがわかりました。
それにしても、高野豆腐の9割以上が長野県で作られているという事実には驚きを隠せません。
さらなる調査のため、今後、長野県への取材も企画中です!ご期待ください。